京都・岩船寺:仏教の聖地・南山城を歩く

京都府の最南端に位置する南山城(みなみやましろ)エリアは、行政上は京都府に属しながらも、文化的には奈良とのつながりが色濃く残る土地です。南都仏教の僧たちが人里離れた地で修行に専念するための場所として、平安時代から「仏教の聖地」としての地位を築いてきました。

この地域に点在する平安・鎌倉期の古刹や、摩崖仏などの石仏信仰の名残は今も往時の面影をとどめています。霊験あらたかな石像群を巡るハイキングコースも人気です。すでに紹介した浄瑠璃寺、笠置寺、そして今後ご紹介予定の海住山寺と並び、この岩船寺も南山城の魅力を語るうえで欠かせない一寺です。

三重塔と十三重石塔

阿字池のほとりに建つ三重塔は、優美な姿を今に伝える岩船寺の象徴です。寺伝では、智泉大徳の入滅後に仁明天皇がその遺徳を偲んで承和年間(834〜847年)に建立したと伝わります。昭和十八年(1943年)の解体修理時に「嘉吉二年(1442年)」の銘文が見つかっており、現存の塔は室町時代の再建と考えられています。

もう一つの見どころが、花崗岩製の十三重石塔(重要文化財)です。正和三年(1314年)、妙空僧正によって建立されたと伝えられ、高さは5.5メートル。塔身には金剛界四仏の梵字が東西南北に彫られ、昭和の修理の際には内部から水晶製の五輪舎利塔が発見されました。

梵鐘ものがたり

聖地、南山城に響く報恩鐘

岩船寺の梵鐘は、境内の最奥にある三重塔の左手にひっそりと佇んでいます。かつての鐘は戦時中の金属供出で失われましたが、現在の鐘は昭和49年に新たに鋳造されたものです。拝観時間内であれば、誰でも自由に撞くことができ、静かな山里に心地よい音色が響き渡ります。

アクセス

住所

京都府木津川市加茂町岩船上ノ門43

ホームページ

【公式】岩船寺ウエブサイト

お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
  • 梵鐘の愛好家
  • 出張先や夜時間に梵活中

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