京都・知恩院大鐘:年の瀬の風物詩、試し撞きの見学

大晦日の夜、テレビの画面には巨大な梵鐘と、それを取り囲む僧侶たちの姿。「ゴーン」と低く響く鐘の音が、新しい年への切り替わりを告げる──。NHK『ゆく年くる年』の定番中継地として、長年にわたり日本の年の瀬を象徴している京都・知恩院(ちおんいん)の除夜の鐘。今回はその本番ではなく、本番の少し前に行われる「試し撞き」を見学してきました。

本番さながらのリハーサル風景

知恩院の除夜の鐘といえば、17人の僧侶が「えーい、ひとーつ」「そーれ」の掛け声とともに、全身を仰け反らせるようにして撞木を引く、あの光景。一打ごとに地を揺らすような重い音が108回。日本中の年越しの定番風景です。

大晦日本番の少し前──毎年12月27日午後2時から、本番とまったく同じ段取りで「試し撞き」が行われます。撞木の調整、僧侶たちの息合わせ、108打通しのリハーサル。本番さながらの所作が、明るい昼の光のなかで繰り広げられるのです。

試し撞きの開始時刻が近づくにつれ、石段はどんどん人で埋まっていきます。大きな放送用カメラを担いだ報道クルーが、息を切らせながら次々と登っていく。見物客もカメラを構えた人、家族連れ、外国人観光客と多種多様。「リハーサルなのに、これか……」と、本番の混雑を想像するだけで気が遠くなります。

鐘の音が鳴る自動販売機

ちなみに境内には、ちょっとしたお楽しみも。

参道の一角に、梵鐘のイラストが大きく描かれた自動販売機が並んでいます。飲み物を購入すると、「ゴーン」と鐘の音が鳴る仕掛け。中央の自販機にあしらわれているモノクロの絵は、おなじみの光景そのもの。総本山・知恩院ならではの、お茶目な演出です。

梵鐘しらべ

時間御忌、試し撞き、大晦日
打数
前捨て鐘
実質
後捨て鐘

トム・クルーズが登った石段

トム・クルーズ主演の『ラストサムライ』(2003年公開)。トム・クルーズ演じるオールグレン大尉が、天皇に謁見するため御所へと向かう、物語序盤の重要な場面。そこで使われたのが、知恩院の三門と男坂でした。

威厳ある巨大な門をくぐり、まっすぐに伸びる石段を一歩一歩登っていくオールグレン。背景に広がる東山の緑、古色を帯びた石組み、そして見上げるほどの三門の威容──「日本」というイメージを世界に伝えるうえで、これ以上ふさわしい舞台はなかなか見つからないでしょう。

梵鐘ものがたり

本来は「御忌(ぎょき)」のための鐘

ところで、これだけ除夜の鐘で全国的に知られる知恩院の大梵鐘ですが、実はこの巨鐘、除夜の鐘のために鋳られたものではありません。
本来の用途は、浄土宗の開祖・法然上人の御忌(ぎょき)法要のための鐘。御忌は、知恩院にとって一年でもっとも重要な法要です。70トンの大梵鐘がその期間にだけ撞かれていたという事実は、御忌がどれほど特別な行事であったかを物語っています。
知恩院の大梵鐘は、現在も大晦日と、この御忌の期間中にしか撞かれません。年に数えるほどしか鳴らされない、という意味では、12月27日の試し撞きは「年に数回しか聴けない大梵鐘の音を、しかも108回まとめて聴ける」という、なかなか贅沢な機会でもあるのです。

アクセス

住所

京都府京都市東山区林下町

https://youtu.be/VAwGrQ2JEpI

お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
  • 梵鐘の愛好家
  • 出張先や夜時間に梵活中

皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。

しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。

「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。

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