
梵鐘単体の評価
京都・浄瑠璃寺:仏教の聖地、南山城に伝わる晩鐘
京都府木津川市、奈良との県境にある浄瑠璃寺。住所こそ京都ですが、文化的には奈良の影響が色濃く残る南山城(みなみやましろ)エリアに位置しています。かつて南都の僧侶たちが、俗世を離れて修行に励んだこの地には、岩船寺、笠置寺、海住山寺など、今も多くの古刹が点在しています。

平安時代から伝わる唯一の九体仏
浄瑠璃寺の象徴は、西側の本堂に安置された九体の阿弥陀如来像。これらはすべて平安時代に造られたもので、建物と共に国宝に指定されています。同様の形式を伝えるものとしては、江戸時代に造られた東京・九品仏浄真寺の九体阿弥陀像が知られていますが、平安時代のものが完全な形で残るのは浄瑠璃寺だけです。

大人気の食事処「あしびの」
寺の中心には「宝池」が静かに広がり、東岸には三重塔が、そして西岸には本堂が建ちます。三重塔には秘仏の薬師如来像が祀られ、こちらも平安時代の作。薬師如来がもたらす「浄瑠璃世界」を象徴しており、春分と秋分の日には、塔の背後から朝日が昇り、本堂の背後に夕日が沈むという、浄土思想を体現した光景が広がります。秘仏の薬師如来像は、お彼岸の時期に限ってご開帳されます。
梵鐘しらべ

時間 | 毎日17時 |
打数 | 5回 |
前捨て鐘 | ー |
実質 | ー |
後捨て鐘 | ー |
梵鐘ものがたり

聖地、南山城に響く晩鐘
山門をくぐってすぐ左手に新しい鐘楼があり、そこに掛けられている梵鐘は昭和43年(1968年)に新たに鋳造されたものです。かつての鐘は、戦時中の金属供出により失われました。
この鐘は、毎日午後5時、寺の閉門に合わせて5回、静かに響き渡ります。九体の阿弥陀と薬師如来に見守られ、夕暮れの山寺に一日の終わりを告げる音。それは、訪れた人の心にも深く沁み入るような、静謐な時間を演出してくれます。

周辺の山道には鎌倉時代からの石仏が点在し、ハイキングを兼ねた参拝も人気です。奈良駅やJR加茂駅からバス便がありますが、本数が少ないため事前に時刻表の確認をお勧めします。
【ウエブサイト】お手軽ハイキングへ! 石仏の里「当尾」を歩こう
アクセス
住所
京都府木津川市加茂町西小札場40
ホームページ
皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。
しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。
「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。
一緒に梵鐘を巡る旅に出かけましょう!