【勝手に大予想】ゆく年くる年2026/2027

さて、今年もこの季節がやってきました。大晦日の「ゆく年くる年」で、どんなお寺が全国に中継されるのか——毎年恒例の予想を、今年もしてみたいと思います。

振り返れば、2026年は、ずいぶんと自然に振り回された一年でした。厳しい猛暑に、各地を襲った記録的な豪雨。7月には熊本で最大震度7の地震が起き、秋にはたびたび台風が列島を襲いました。「気候変動」という言葉を、これほど肌で感じた年もなかったかもしれません。一方で、「北の国から」の倉本聰さんの訃報に胸を痛め、火災から7年を経た首里城の正殿がついに甦るという報せに、心を温めた——そんな、喪失と再生の年でもありました。

そんな2026年を送り、2027年を迎える大晦日。「ゆく年くる年」は今年、どんな風景を映し出すのでしょうか。例年どおり、過去の中継地の傾向、今年の出来事、そして来年の話題を手がかりに、北から南まで、全国の「年の瀬の鐘」を占ってみたいと思います。

1. 東大寺(奈良)── オープニングは15年ぶりの奈良太郎

紅白歌合戦の華やかなフィナーレから、静寂のお寺に画面が切り替わる。

その幕開けの一番手として、今年推したいのが東大寺です。過去10年、この番組のオープニングは知恩院・清水寺・比叡山・薬師寺・興福寺……と、いわゆる大寺院が務めてきました。

東大寺の梵鐘は、大仏開眼と同時期に鋳造され、およそ1300年にわたり今も現役で鳴り続ける国宝の梵鐘です。重さ26.3トン、総高3.86メートル。京都・方広寺の巨鐘が現れる1612年まで、およそ900年ものあいだ日本一の大きさを守り続けました。撞くための撞木さえ、ケヤキ造りで長さ4.48メートル、金具を入れれば約200キロにもなるといわれています。梵鐘とそれを吊る鐘楼の両方が国宝に指定されているのは、全国でも東大寺ただひとつです。東大寺の記事はこちら

2. 立石寺(山形)── 松尾芭蕉の名句の舞台

山形の山寺、宝珠山立石寺を一躍有名にしたのは、松尾芭蕉です。元禄2年(1689年)、当初の旅程になかったこの地にわざわざ立ち寄った芭蕉は、岩山にしみ入るような静寂のなかで、あの一句を残しました。

「閑さや岩にしみ入る蝉の声」

麓の根本中堂には、比叡山延暦寺から分けられ1200年近く一度も絶えたことのない灯が伝わります。織田信長の焼き打ちで延暦寺の火が消えたときには、逆にこの立石寺から火が返され、延暦寺の法灯が復活しました。

立石寺 文化財デジタルコンテンツ 93737047-5b68-42e1-ba6c-de3776fc9341

3. 富良野(北海道)── 北の国から

脚本家・倉本聰さんが、9月18日の夕方、富良野市の自宅で静かに世を去った。
多くの名作を生んだ倉本さんですが、やはり真っ先に浮かぶのは「北の国から」。1981年に始まり、2002年までの21年間。東京から北海道へ移り住んだ黒板五郎と、純、蛍の子ども二人が、富良野・麓郷の雄大な自然のなかで生きる姿を描きました。

Photock 北海道富良野のカラフルな花畑(花のストライプ)

4. 成田山新勝寺(千葉)── キーステーションは千葉の大本山

画面が切り替わりアナウンサーが登場。今年のゆく年くる年のキーステーションは千葉の成田山新勝寺を予想します。
初詣の人出は社寺として明治神宮に次ぐ全国第2位。正月三が日だけで約300万人が訪れます。

石段を上りきった台地の一角に、その鐘楼はひっそりと建つ。元禄14年(1701年)の建立で、成田市の指定文化財。吊られた梵鐘は、さらに古く寛永13年(1636年)の鋳造です。

成田山新勝寺 文化財デジタルコンテンツ d27f26fd-0b9a-4157-847e-f23c05b4051c

5. 久留里線(千葉)── 別れも告げられずに消える鉄路

成田山の賑わいから、同じ千葉県を、南へ、山あいへと分け入っていく。木更津から房総の内陸を走る、JR久留里線。その久留里駅から上総亀山駅までの9.6キロが、2027年の春、静かに姿を消す。首都圏のローカル線が廃止されるのは、実に43年ぶりです。

廃止をおよそ半年後に控えた2026年9月、台風25号の豪雨が、よりによってこの区間を襲いました。JRは木更津側の復旧見通しは示したものの、久留里から上総亀山までは「再開時期未定」のまま。さよなら列車が走ることもなくこの路線は消えていくことになりそうです。

写真AC 久留里線 上総亀山駅 車止めと列車

6. 久国寺(名古屋)── 岡本太郎が大晦日に爆発する

名古屋市北区、名古屋城の鬼門除けとして江戸の初めに建てられた曹洞宗・久国寺。その境内の鐘楼に吊られた梵鐘は、一度見たら忘れられません。鐘の上半分からは、角のような、あるいは腕のような突起が何本も空へ突き出し、下半分には、瞑想する仏や、動物、魚、妖怪といった森羅万象が浮き彫りになっています。鐘の一角には「TARO」の署名。これは岡本太郎が手がけた梵鐘で、その名も「歓喜の鐘」と呼ばれています。久国寺の記事はこちら

久国寺 歓喜の鐘

7. 永平寺(福井)── 雪の大本山、新たな一打で年が改まる

永平寺は、寛元2年(1244年)、宋での修行から帰った道元禅師が、坐禅修行の道場として開かれました。以来およそ780年。末寺は1万5000を数え、樹齢600年を超える老杉に囲まれた山肌に、七堂伽藍が階段状に連なる。今も多くの修行僧たちが、厳しい修行に明け暮れる地お寺です。

2026年、この大本山は、大きな節目を迎えた年でもありました。4月、98歳の南澤道人貫首が退き、羽仁素道貫首が第81世に代替わりしました。新しい貫首を迎えた大本山が、いままさに、新しい年を迎えようとしています。永平寺の記事はこちら

8. 成田山の参道(千葉)── あけましておめでとうございます!

大晦日から元日へ、0時に除夜の鐘が鳴りはじめると、御本尊不動明王の宝前では「元朝大護摩供」の炎が焚き上げられます。

にぎやかな参道から新しい年の放送が始まります。

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9. 首里城(沖縄)── 万国津梁の鐘が告げる再建

画面は南の沖縄へ。那覇の高台に朱色の大屋根が夜空に浮かび上がります。2019年の火災で焼け落ちた首里城の正殿が、今年ついに甦りました。
首里城の鐘は「万国津梁(ばんこくしんりょう)の鐘」と呼ばれています。この「万国津梁」の精神は、2000年の沖縄サミットの会議場「万国津梁館」の名にも受け継がれています。

(一財)沖縄美ら島財団デジタルミュージアム 万国津梁の鐘(ばんこくしんりょうのかね)

10. 円照寺(横須賀)── 四百九十年を経て甦った鐘

2027年の大河ドラマ「逆賊の幕臣」の主人公は、幕臣・小栗上野介忠順。慶応元年(1865年)、小栗はフランス人技師ヴェルニーとともに横須賀製鉄所の建設に着手しました。

円照寺の本堂に祀られているのが、世にも不思議な鐘——「沈鐘(ちんしょう)」です。幕末の文政5年(1822年)2月、走水の沖で、漁師の利兵衛が網にかけて高さわずか44センチほどの小さな鐘を引き揚げました。その中には法華経の写経が納められていました。

写経の奥書には、鎌倉時代の元徳2年(1330年)8月この鐘を竜宮城へ奉納する、と書かれていました。つまりこの鐘は、490年以上もの長い歳月を海の底で過ごし、幕末になって甦ったことになります。海に鐘を沈める伝説は各地にあるけれど、経文を封じ込めたまま沈め、それが実際に引き上げられた——その実例の記録がはっきり残るのは、全国でここ、円照寺だけです。円照寺の記事はこちら

11. GREEN×EXPO 2027(横浜)── 花と緑が描く、明日の風景

2027年3月19日から9月26日まで、横浜で国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」が開かれます。会場となるのは、横浜北西部の旧上瀬谷通信施設——かつて米軍の通信基地だった広大な土地が、既存の樹林や谷戸、水の流れを生かしながら、花と緑の「明日の風景」へと生まれ変わろうとしています。

お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
  • 梵鐘の愛好家
  • 出張先や夜時間に梵活中

皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。

しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。

「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。

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