
梵鐘単体の評価
奈良・飛鳥寺:日本最初のお寺に伝わる昭和の名鐘
飛鳥寺は、日本で初めて本格的に建立された仏教寺院です。推古天皇4年(596年)、蘇我馬子が氏寺として建立しました。本堂には日本最古の仏像である飛鳥大仏(銅造釈迦如来坐像)が安置されています。飛鳥大仏は平安時代の仁和3年(887年)と鎌倉時代の建久7年(1196年)に火災で損傷を受けながらも、幾度もの修復を経て、1400年以上にわたって当時の面影を伝え続けています。

歴史の授業で習った「大化の改新」
この地は、日本の歴史を大きく動かした事件とも深い関わりがあります。飛鳥寺の境内は、大化の改新のきっかけとなる出会いの場──中大兄皇子と中臣鎌足が初めて対面した場所とされ、寺の隣には、蘇我入鹿の首塚も残されています。日本の政治史を語るうえでも、この寺は欠かせない場所です。

飛鳥寺の境内を西に抜けたところに立つ首塚
梵鐘しらべ

梵鐘ものがたり

飛鳥の地に伝わる昭和の名鐘
飛鳥寺の金堂正面、入り口から左手奥に鐘楼があります。現在の鐘楼は江戸時代中期の延享5年(1745年)に建てられたものですが、その時に鋳造された梵鐘は戦時中の金属供出によって失われてしまいました。
昭和33年(1958年)、新たな鐘が鋳造され、飛鳥の地に鐘の音がよみがえりました。この鐘は、訪れた人が自由に撞くことができます。かつてこの地で国家が形づくられたように、今もなお、静かに響く鐘の音が、歴史の重みとともに私たちに語りかけてくれます。

アクセス
住所
奈良県高市郡明日香村飛鳥682
ホームページ
皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。
しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。
「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。
一緒に梵鐘を巡る旅に出かけましょう!