東京・青松寺:高僧ビルに囲まれた都心のパワースポット

今回は港区愛宕にある青松寺(せいしょうじ)を紹介します。最寄りの日比谷線神谷町駅は、昨年開業した日本一高い「麻布台ヒルズ」に直結している注目のエリアです。青松寺は「愛宕グリーンヒルズ」に隣接していて、境内からは高層ビルや東京タワーが綺麗に見えます。周辺には流行りのお店やおしゃれなレストランがたくさんあって、境内から見渡す景色はとても都会的です。出世の階段で有名な愛宕神社と同じエリアにあり、都内有数のパワースポットとして人気です。

駒澤大学のルーツとなった学寮

青松寺は、江戸城を建てた太田道灌によって文明8年(1476年)に創建されました。江戸時代には曹洞宗江戸三ヶ寺のひとつとして、曹洞宗の寺院を統括する役割を果たしていました。江戸三ヶ寺には、青松寺のほかに泉岳寺と総泉寺がありました。当時の観光案内からも、大規模で多くのお坊さんを抱えていたことが伺えます。境内には「獅子窟学寮」というお坊さんの学校があり、これが今日の駒澤大学へと発展しました。

梵鐘しらべ

時間17時
打数9打
前捨て鐘
実質7打
後捨て鐘2打

インドネシア・スカルノ大統領の石碑

青松寺を訪れたスカルノ大統領

お寺の隣には老舗日本料理店「醍醐」があります。1958年にインドネシア大統領のスカルノはこのお店で食事をした時に、インドネシア独立運動に参加したたくさんの日本兵の話を聞いたとされています。おそらくデヴィ夫人も同席されていたかもしれません。

独立戦争を戦った旧日本兵の記憶

インドネシアは日本がポツダム宣言を受諾した1945年8月15日の二日後、8月17日に独立を宣言しました。しかし、その後インドネシアの植民地化を目指すオランダ・イギリスと激しい戦争を繰り広げました。現地に取り残された旧日本兵はオランダ・イギリス軍に強制参加させられましたが、たくさんの日本人はインドネシアの独立が正しい道と信じ、命令に背いてインドネシア軍に参加し戦死していきました。この話を忘れないためにスカルノ大統領の呼びかけで青松寺の境内に記念碑が建てられました。

梵鐘ものがたり

お寺に伝わる戦後の鐘と戦前の鐘

境内の西側、愛宕ヒルズタワーの近くには立派な鐘楼があり、毎日夕方5時に鐘が鳴らされます。この鐘は戦後に新しく作られたものです。創建当初から伝わるオリジナルの梵鐘は、戦時中の金属供出令により一時どこかに集められていましたが、鐘が溶かされる前に終戦となり、再び青松寺に戻ってきました。しかし、その時にはすでに新しい鐘が完成していたため、オリジナルの鐘は現在本堂脇に設置されています。お寺としてはこの鐘も堂を建てて安置したいと考えていますが、建物規制のため実現していないそうです。

アクセス

住所

東京都港区愛宕2丁目4−7

ホームページ

https://seishoji.jp

お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
  • 梵鐘の愛好家
  • 出張先や夜時間に梵活中

皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。

しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。

「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。

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