高野山・金剛峯寺(2):福島正則が寄進した万葉仮名の鐘

高野山駅に到着後はケーブルカーとバスを乗り継ぎ、いよいよ聖地の門をくぐります。まず出迎えてくれるのは金剛力士像が立つ大門。その先には、壇上伽藍、金剛峯寺、奥の院と続く参道が2キロ以上も続き、周辺には117もの寺院が点在します。高野山全体が「一山境内地」と称され、山全体がお寺となっているのが特徴です。樹齢数百年の杉並木を進む奥之院参道は、異空間に迷い込んだような感覚を抱かせ、強いスピリチュアルな印象を与えます。

広大な高野山にはコンビニも!

2013年に開業したファミリーマート高野山店は、参拝者や僧侶にとって欠かせない存在です。数千人のお坊さん、職員にとって高野山は生活の場でもあります。お寺では電子マネーが使えないこともあるのでコンビニATMは重宝します。商品ラインナップは通常の店舗と同様ですが、外観は高野山の景観に合わせて落ち着いたデザインとなっています。

梵鐘しらべ

時間6時から22時までの偶数時
打数
前捨て鐘
実質
後捨て鐘

高野山のマストアイテム・フリー乗車券

高野山には多数の寺院と見所があるため、移動にはバスが非常に便利です。境内には20ほどのバス停が配置されていて、これをうまく利用するかしないかで高野山の経験値が大きく変わると言っても過言ではありません。ケーブルカーを降りたところのバス停で「一日フリー乗車券」を購入すれば、広大な境内を効率よく巡ることができます。限られた時間で見どころを訪れたい方には、奥の院から金剛峯寺、壇上伽藍への順番で巡るルートがおすすめです。

梵鐘ものがたり

鐘銘がかなまじり文であることで有名な六時の鐘

珍しい万葉仮名の梵鐘

「六時の鐘」は元和3年(1617年)、豊臣秀吉の家臣であった福島正則が父母の追福を願い寄進したものです。ニ六時を知らせる鐘として使われています。ニ六時とは、かつて一日の十二刻を「ニ六時」と表現していて、その名残から「六時の鐘」と呼ばれています。
現在も午前6時から午後10時まで偶数時に鐘が鳴らされ、人々に時を知らせています。今使われている鐘は寛永7年(1640年)の火災後に福島正利が再鋳したものです。この鐘は石垣の上にある鐘楼に設置されているので直接見ることはできません。銘には「福島宰相正則」という有名なが戦国武将明記されていること、万葉仮名の銘文が刻まれていることで、非常に珍しい例として知られています。

「雑兵広作 実ハ福嶋正則 中村宗十郎」(早稲田大学文化資源データベース100-5834)

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」

高野山はユネスコ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成遺産で、高野山と熊野本宮を結ぶ熊野古道小辺路(こへち)の出発点となっています。空海は吉野から南へ1日、西へ2日ほど歩いた土地を嵯峨天皇から譲り受けました。吉野の出発点は金峯山寺と考えられています。そこから南へ向かう「大峰奥駈道」、大峰山寺の手前で西に向かうルートがおそらく空海が通った道と考えられています。この道は「弘法大師の道」と呼ばれ、空海の足跡を感じながらたくさんの登山者や巡礼者がこの古道を歩んでいます。

高野山への訪問は、単なる観光ではなく、深い歴史と信仰に触れる旅になることでしょう

アクセス

住所

和歌山県伊都郡高野町高野山132

ホームページ

http://www.koyasan.or.jp/

お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
  • 梵鐘の愛好家
  • 出張先や夜時間に梵活中

皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。

しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。

「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。

一緒に梵鐘を巡る旅に出かけましょう!

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