奈良・矢田寺:日本最古の地蔵信仰と京都の送り鐘

矢田寺(金剛山寺)は「矢田のお地蔵さん」として広く親しまれており、奈良県の矢田山の中腹に位置しています。この寺院には、日本最古とされる延命地蔵菩薩が安置されており、地蔵信仰の中心地として栄えてきました。寺院へは大和小泉駅からバスで横山口まで行き、そこから徒歩約20分の山道を登ると到着します。運が良ければ、一日に数本運行されるバスで矢田寺の入り口まで行くことができます。

矢田山から斑鳩地方が一望できる

バラエティー豊富な矢田寺のお地蔵さん

矢田寺のお地蔵様は、一般的な姿とは異なり、右手の親指と人差し指を結んだ「矢田型地蔵」が特徴的です。また、何も持たないお地蔵様や、甲冑をまとい、馬に乗った勇ましい「勝軍地蔵」も見られます。この多様な地蔵像は、矢田寺の地蔵信仰が深く広がっている証です。

いろんなポーズがある矢田寺のお地蔵さん

特に有名なのが「みそなめ地蔵」です。昔、近くの農婦が味噌の味が悪くなったとき、夢の中でお地蔵様が現れ、「味噌を私に食べさせれば良くしてあげよう」と告げました。翌朝、参道にある石のお地蔵様に味噌を塗ったところ味噌の味が良くなったという話が広がって「みそなめ地蔵」と呼ばれるようになりました。

このときは味噌なめしてませんでした

京都にある矢田寺の別院

一方、京都にある矢田寺の別院、矢田地蔵尊は、奈良の矢田寺の別院として承和12年(845年)に満慶上人と小野篁によって創建されました。その後、天正18年(1590年)に豊臣秀吉の命で現在地に移転しました。

梵鐘しらべ

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京都盂蘭盆の送り鐘

京都では8月初旬に六道珍皇寺で「迎え鐘」が撞かれ、冥界から先祖の霊を呼び寄せる行事が行われますが、矢田寺では8月16日に「送り鐘」として、お盆の終わりに先祖の霊を冥界へ送り出すための鐘が撞かれます。京都の矢田地蔵はにぎやかな寺町商店街の中にあります。

六道珍皇寺と矢田寺は小野篁に縁があります。小野篁は日中は朝廷の高官として働き、夜は冥界へ通い閻魔大王の助手として仕えたと伝えられています。六道珍皇寺には、冥界に通じる「冥土通いの井戸」と「黄泉がえりの井戸」が残されていて、このミステリースポットの信ぴょう性を高めてくれます。京都・六道珍皇寺:冥界とつながるミステリースポットの『迎え鐘』

六道珍皇寺の境内にある冥途通いの井戸

矢田寺の「送り鐘」は、死者の霊を迷わず冥界へ送るための鐘として大切にされています。1359年に鋳造された梵鐘は、戦時中の金属供出で失われましたが、1973年に新たに鋳造され、現在もその役割を果たしています。

アクセス

住所

奈良県大和郡山市矢田町3506

ホームページ

http://www.yatadera.or.jp/

お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
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  • 出張先や夜時間に梵活中

皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。

しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。

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