名古屋・久国寺:岡本太郎のアート梵鐘「歓喜の鐘」

名古屋市北区の久国寺は江戸時代の初めごろに名古屋城の鬼門除けとして建てられました。住宅街の中にある目立たない小さなお寺ですが、あの岡本太郎が製作した梵鐘「歓喜の鐘」を持つことで知られています。

お寺の看板にも「歓喜の鐘」

太郎ワールド全開の「歓喜の鐘」

「歓喜の鐘」は1965年に製作されました。あの「太陽の搭」が大阪万博に登場する5年前のことです。当時の久国寺住職が岡本太郎に制作を依頼して実現したものです。当時、岡本太郎は梵鐘を2体作りました。もう1体は静岡県のレジャー施設「日通伊豆富士見ランド」に設置されていましたが、2018年に日本通運から前橋市に寄贈され「太陽の鐘」として広瀬川河畔緑地に現存しています。

鐘にはしっかりと銘が入ってます

梵鐘しらべ

時間      大晦日のみ
打数
前捨て鐘
実質
後捨て鐘

こんなところにも岡本太郎

大谷翔平選手の活躍で大人気のロサンゼルス・ドジャース。そのドジャースに最初に入団した日本人が、トルネード投法でファンを沸かせた野茂英雄選手でした。野茂選手はドラフト会議で8球団が競合する中、近鉄バファローズに入団しました。

近鉄バファローズの球団シンボルも岡本デザインです。監督だった千葉茂氏と岡本太郎が友人であったことから、この斬新なデザインが誕生しました。プロ野球の球団ロゴがアルファベットの組み合わせが一般的である中、岡本がデザインしたバファローズのマークは非常にデザイン性が高く、いまでも人気です。

梵鐘ものがたり

鐘の上半分には無数の角が突き出していて、鐘の音が勢いよく発散されていく様子が表現されている。鐘の下半分には瞑想する仏、動物、サカナ、妖怪などあらゆるものが響きの中で喜ぶ姿を描いている。

岡本が遺したパブリック・アートたち

岡本作品の多くは駅や広場など公共の場に設置されていて、誰でも無料で楽しめるのが特徴です。岡本はパブリック・アートの精神を大切にしたアーティストでした。油絵も300点以上あるそうですが自ら販売したことは一度も無かったそうです。いまでも街中で見ることができる岡本のアート作品を並べてみました。

1985年青山「こどもの樹」大人からしたら子供というのは無邪気に見えるものの、実は子供は気の緩んだ大人のいい加減な姿をしっかりと見抜いているという、子供の鋭い感性を表現した作品。

数寄屋橋公園1966年「若い時計台」時間に縛られている現代人ではあるものの、人間の本来の姿は八方に意欲を突き出し情熱を持っていることを表現した作品。

渋谷駅1968年作「明日の神話」原爆・水爆が爆発する瞬間を表現した巨大絵画。ビキニ環礁の水爆実験で被ばくしたマグロ漁船第五福竜丸が描かれている。長年行方不明になっていたがメキシコで発見された。

岡本太郎が揮毫した芝栄太郎の看板

アクセス

住所

〒462-0837 愛知県名古屋市北区大杉3丁目2−27

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お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
  • 梵鐘の愛好家
  • 出張先や夜時間に梵活中

皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。

しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。

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