奈良・岡寺:飛鳥の岡に響く供出戻りの鐘

今回は、奈良県明日香村の東、岡山の中腹に佇む岡寺(おかでら)の梵鐘を紹介します。その名はシンプルに「飛鳥の岡にある寺」に由来していて、古くから親しみをこめて「岡寺」と呼ばれてきました。正式には「龍蓋寺(りゅうがいじ)」として、創建から1300年の歴史を誇る古刹です。

途中で出会った謎の石造物

今回の訪問では、飛鳥寺から岡寺まで徒歩で向かいました。道中には「酒船石遺跡」があります。これは、表面に複雑な溝が刻まれた巨大な石造物で、かつて水を流して祭祀に使われたともいわれています。明日香村に点在する「謎の石造物」の代表格とされています。

梵鐘しらべ

梵鐘ものがたり

明日香に響く供出戻りの鐘

仁王門から本堂に向かう階段を上ると右手に鐘楼が見えてきます。鐘楼の中にある梵鐘は200年以上前の文化5年(1805年)に作られたものです。梵鐘をよく見ると5か所に小さな穴があります。これは、第二次世界大戦中に軍需物資として梵鐘が供出された際に、金属の含有量や成分を検査するために開けられた穴です。この梵鐘は一旦供出されましたが溶かされる前に終戦を迎え、再びもとの岡寺に戻ってきました。

拝観時間内であれば参拝者が自由に撞くことができます。戦争から戻った鐘が、飛鳥の自然に包まれた静寂の中で響き渡ります。

アクセス

住所

奈良県高市郡明日香村岡806

お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
  • 梵鐘の愛好家
  • 出張先や夜時間に梵活中

皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。

しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。

「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。

一緒に梵鐘を巡る旅に出かけましょう!

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