『ゆく年くる年2025』納得の構成を振り返る

大晦日の定番、NHK『ゆく年くる年』。
『お寺の鐘しらべ』では放送に先立ち、2025年の社会的トピックや大河ドラマ、万博、干支といった要素から中継地を予想する記事を10月に公開しました。

【大予想】ゆく年くる年2025→2026

結論から言えば、予想が的中したのはキーステーションの浅草寺のみ。それ以外はすべて外れてしまいましたが、実際の放送を振り返ると、どの中継地にも明確な選定理由があり、風景・歴史・メッセージが丁寧に編み込まれた、非常に完成度の高い構成だったと思います。

本稿では、事前予想とのズレを確認しつつ、実際に選ばれた中継地とその意味を整理してみます。

中継地点と選定理由(推定)

京都・清水寺

清水の舞台を支える「懸造(かけづくり)」の建築技法が、2025年に大きな話題となった大阪・関西万博の大屋根リングと共通するという視点。どうしても舞台が注目されるが、実は梵鐘も600年前に作られた貴重なもので国の重要文化財に指定されています。

高知・大川上美良布神社(おおかわかみいらふじんじゃ)

やなせたかしの出身地。境内にはアンパンマンの絵馬。2025年前期のNHK連続テレビ小説
『あんぱん』も大きな話題になりました。

東京・浅草寺

2025年の大河ドラマの舞台ということで、ここだけは事前予想が的中しました。番組のキーステーションとして進行役のアナウンサーが登場。年越しの瞬間には梵鐘の打鍾。後半には弁天山百八会のメンバーとして落語家の林家正蔵、林家三平が賑やかに彩りました。浅草寺の弁天山では毎朝6時に打鍾されます。普段も見物人が多い梵鐘です。

岩手・天照御祖神社(あまてらすみおやじんじゃ)

東日本大震災の被災地。参道の上に建つ社殿は15mの津波からの避難所になった。さらに2025年の大規模な森林火災でご神木を焼失。自然災害の多い日本の現実を、静かに突きつける中継でした。

山口・瑠璃光寺

国宝・五重塔が約70年ぶりの大改修を終え、完成した姿をライトアップ。穏やかな天候で池の水面には逆さの塔が見事に描かれていました。

埼玉・菅原神社(上里町)

神職の梅林テチャナさんはウクライナ出身。戦争が続く現実の中で、日本の地方神社から発信される平和への祈りは、非常に強いメッセージでした。中継のなかで福昌寺から響く除夜の鐘が3回聞こえました。

佐賀・祐徳稲荷神社(ゆうとくいなりじんじゃ)

干支「午(馬)」にゆかりのある神社。年越し番組としての“王道”をしっかり押さえた選定。日本三大稲荷の一つに数えられる神社で、お正月には佐賀県の人口を上回る参拝者が予想されるそうです。

宇宙・国際宇宙ステーション

国際宇宙ステーションに滞在中の宇宙飛行士・油井亀美也さんと中継。宇宙食のお餅が紹介されました。

名古屋・豊国神社

翌年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』を見据えた選定。京都以外にも豊国神社があることを初めて知りました。

北海道・龍宮神社(小樽)

雪景色の中で舞われる松前神楽。新年の幕開けにふさわしい、雅で華やかな演出でした。

振り返って

正直に言えば、清水寺を軸に、大阪・関西万博とリンクさせた構成を事前に予想できなかったのは悔しく感じました。だが、結果としてどの中継も「なぜここなのか」が明確で、風景・歴史・社会的文脈・メッセージが一本の線でつながっていました。

今回の『ゆく年くる年』は、その点で非常に完成度の高い番組だったと思います。気の早い話ですが、年末が楽しみです。

お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
  • 梵鐘の愛好家
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