冬の祭典【法隆寺】鬼追式のレポート

毎年2月1日から3日間、毎日西円堂では「薬師悔過」の法要が行われます。二月に西円堂で行われることから一般には「西円堂修二会」と呼ばれています。修二会結願が終わると「追儺会(ついなえ)」と呼ばれる鬼追式が行われます。

2月3日、節分の儀式が日本全国の様々な寺院で執り行われます。法隆寺の鬼追式は弘長元年(1261年)から伝わる日本で最も古いものと言われています。

17時30分ごろ 法隆寺駅から徒歩で法隆寺へ

ウエブ告知によると18時30分開始とあったので、17時30分ごろ法隆寺駅に到着し徒歩で向かいました。日中ならバスもありますが、この時間は既に運行が終わっています。法隆寺の参拝時間も過ぎていて、参道や境内は人影もまばらです。

18時 お坊さんが西円堂に入場

西円堂へ向かう階段あたりまで来ると法螺貝の音色が聞こえてきます。階段を登り切って、18時前に西円堂に到着しました。お堂の周りには松明除けのフェンスが設置されていて、四か所の石段前にはすでに20人ほどの参拝者が集まっていました。18時になると金堂から移動してきたお坊さんの行列が西円堂に入場します。

18時30分ごろ 西円堂の内部で法要開始

お堂の中では薬師悔過の結願法要が行われます。その様子を見たい人はフェンスの中に入って、正面の石段からお堂に近づいて見ることができます。結願法要が行われている1時間フェンスの外で待っていると、フェンスの中に入ってお堂内を見たい衝動に駆られます。しかしその時間にはすでにフェンス周辺は大勢の人が集まっているので、いったんフェンス内に入ってしまうとその後の鬼追い式は人垣の最後尾から見ることになります。

19時ごろ 1回目の鐘太鼓が始まる

19時頃、法要が終わりフェンス内の参拝者は全員外に誘導されます。正面のフェンスが閉じられると、いよいよ開始の雰囲気が漂います。ここからアナウンスが入ります。これからお堂内で鐘や太鼓が打ち鳴らされる。それが7回半繰り返され、そのあと鬼が出てくるとのこと。1回の単位がよくわからないまま、お堂の中で鐘や太鼓がひたすら10分くらい続くきます。そして音が鳴りやむと、参拝者はついに鬼が出てくるのかと待ち構えます。

アナウンス「1回目の鐘太鼓が終わりました。このあと6回半のあと鬼が登場します。」

ぼちぼち鬼が出てくるかと思っていた大勢の人たちが一斉に笑います。この調子だと鬼の登場までまだまだ30分以上は待たなくてはなりません。

19時40分ごろ 黒鬼・青鬼・赤鬼・毘沙門天が登場

鐘太鼓が数分打ち鳴らされて、インターバル。その繰り返しが延々続き、もはや何回目なのか皆分からなくなってます。

アナウンス「このあと鬼が出てまいります。松明の火にお気をつけください。」

鉞(まさかり)を担いだ黒鬼が登場します。黒鬼と呼ばれますが衣装は青色です。三本角のお面です。鉞を研ぐような所作を行った後、「算主」から松明を受け取ります。鬼は松明を振りかざし、参拝者に向かって勢いよく放り投げます。次に現れるのは宝棒を携えた青鬼、衣装は緑色で角が無いお面を使います。そのあとは宝剣を持つ赤鬼。一本角のお面です。・宝剣。子鬼だけ手引き役が子供。そのあとを追って毘沙門天が現れます。鉾を構えて悪鬼を追い払う所作を行います。

20時30分 鬼追い式が終了

黒鬼、青鬼、赤鬼のお面は鎌倉時代から伝わる重要文化財です。昭和48年からはレプリカを使っています。毘沙門天面のオリジナルは皇居にあり、法隆寺では江戸時代から伝わるものを使用しています。

鬼三体と毘沙門天はこの所作を繰り返しながらお堂を3周します。正面からは見えないのですが、この反対側の北側で鬼の額に「宝印」が貼付され鬼追い式が終了します。普段は日中でも静かな西円堂ですが、この日の夜はとても賑やかでした。

お寺の鐘しらべ管理人

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