梵鐘単体の評価
東京・慶元寺:江戸のルーツとドラマ『地面師たち』のロケ地
世田谷区喜多見にある慶元寺(けいげんじ)は、平安時代からの歴史を持つ由緒ある寺院です。その創建は、坂東武士のひとつである秩父平氏に由来します。
23区内では珍しい慶元寺のシンボル・三重塔
江戸に移り住んだ江戸一族
本堂は世田谷区で現存最古の建物
平安時代中期、秩父平氏の重継が、現在の皇居周辺に移り住んで「江戸氏」を名乗るようになりました。その後、二代目の重長は源頼朝の挙兵に参加し、武功をあげます。1186年、壇ノ浦の合戦で源氏が平家を討ち取った翌年、勝利を記念して慶元寺が建立されました。
梵鐘しらべ
時間 | 毎日17時 |
打数 | 11打 |
前捨て鐘 | ー |
実質 | ー |
後捨て鐘 | ー |
映画の聖地・東宝スタジオ
慶元寺の近く、成城に位置する東宝スタジオは、日本の映画やドラマの歴史を支える重要な場所です。現在、成城はセレブが多く住む高級住宅地として知られていますが、スタジオが建設された1932年当時は農村地帯でした。
当時、映画フィルムは燃えやすい素材でできていたため、広々として人の少ない土地が必要とされ、この地が選ばれました。その4年後の1936年には、後に日本映画を代表する監督となる黒澤明が東宝に入社しました。それ以来、黒澤作品のほとんどはこのスタジオで撮影されています。
代表作『七人の侍』に登場する侍と野武士が決闘する有名なシーンは、スタジオ近くの空き地で撮影されたといわれています。また、世界的にも知られるゴジラシリーズも、初代から近年の『シン・ゴジラ』に至るまで、すべてこのスタジオで制作されました。
東宝スタジオは、往年の名作から最新の話題作まで、数多くの名場面を生み出してきた日本映画を象徴する聖地です。
梵鐘ものがたり
昭和36年に新調された梵鐘。1674年に喜多見重政が寄進したオリジナル鐘は、昭和19年に供出されたが秩父の般若寺に現存する。
Netflixのドラマ『地面師たち』のロケ地
江戸氏はその後、約300年間にわたり江戸一帯を治めていましたが、太田道灌がこの地に江戸城を築城した際、土地を譲り渡し支城のあった木田見(きたみ)へと移りました。江戸時代に入ると、徳川家康が江戸氏に500石の領地を与えます。江戸城と名前が重複することを避けるため、江戸氏は「喜多見」を名乗るようになりました。
Netflixのドラマ『地面師たち』でおなじみの駐車場
このような歴史を持つ喜多見の慶元寺ですが、近年、再び注目を集めています。それはNetflixの大ヒットドラマ「地面師たち」のロケ地となったためです。劇中では、100億円の価値がある「光庵寺」という架空の寺院として登場しました。
蕎麦禁制の碑が残されている称往院
実は、この「光庵寺」の名前にもモデルが存在します。慶元寺の近くにある称往院(しょうおういん)の道光庵には信州出身のそば打ち名人のお坊さんがいました。このお坊さんの手打ちそばは評判を呼び、多くの人々が訪れるようになりましたが、寺の業務に支障をきたしたため、住職により「そば禁止令」が出されたという逸話があります。ちなみに、そば屋の名前に「〇〇庵」が多いのは、この道光庵にあやかったものと言われています。
アクセス
住所
東京都世田谷区喜多見4丁目17−1
ホームページ
お寺の鐘しらべ管理人
- 東京在住のサラリーマン
- 梵鐘の愛好家
- 出張先や夜時間に梵活中
皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。
しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。
「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。
一緒に梵鐘を巡る旅に出かけましょう!