鎌倉・長谷寺:観音の旅路と梵鐘に刻まれた縁(重要文化財)

鎌倉・長谷寺は、江ノ島電鉄の長谷駅から徒歩5分ほど。周辺には鎌倉大仏や由比ガ浜海岸といった観光名所が集まり、鎌倉でも屈指の人気エリアとして多くの人で賑わいます。

観音山の中腹に広がる、花と眺望の境内

観音山の裾野から中腹にかけて広がる境内は、「花の寺」として知られ、四季折々の草花が参拝客を迎えます。とくに梅雨の季節には、40種類・2,500株におよぶアジサイが境内を彩り、見晴台や眺望散策路からは、相模湾と鎌倉の街並みを一望することができます。

本尊の十一面観音像と「新長谷寺」の由来

本尊の十一面観音像は、高さ9.18メートルの巨像で、日本最大級の木造観音立像です。奈良・大和長谷寺の観音像と同じ楠の巨木から彫られた一対の像の一つと伝えられ、養老五年(721年)に伊勢の海岸から流され、16年後の天平八年(736年)6月18日、湘南の海岸に漂着。これを鎌倉に迎えて安置したのが、長谷寺のはじまりとされています。
梵鐘に刻まれた「新長谷寺」の銘は、大和長谷寺に対し、鎌倉で新たに創建された寺であることを示しています。

大和長谷寺の十一面観世音菩薩

この観音像にまつわる信仰と「かきがら稲荷大祭」

この観音像にまつわる信仰は、今も年中行事として息づいています。毎年6月18日には「かきがら稲荷大祭」が行われます。「かきがら(牡蠣の殻)」が漂流中の観音像を守り、関東へ導いたという寺伝にちなんで法要が営まれます。

梵鐘しらべ

時間毎日朝8時
打数5打
前捨て鐘
実質5打
後捨て鐘

参拝帰りに立ち寄りたいグルメ

鎌倉駅東口から徒歩わずか1分。地元の人々からも観光客からも愛され、行列の絶えない食堂が「観音食堂かんのん」です。

名物は「東丼(あずまどん)」と呼ばれるマグロ丼。丼ぶりからはみ出すほど惜しげもなく盛られた赤身のまぐろは、旨みが濃く、コク深い味わいです。お醤油にわさびを溶かし、まぐろにそっと絡めて口に運べば、海苔の香りも相まって、満足感のある一杯に仕上がっています。

梵鐘ものがたり

鎌倉四大古鐘のひとつ、文永元年の梵鐘

長谷寺に伝わる梵鐘は、文永元年(1264年)甲子7月15日「新長谷寺」の銘をもつ古鐘で、鎌倉では常楽寺・建長寺に次いで古い「鎌倉四大古鐘」のひとつとされています。歴史的・美術的価値の高い文化財として、現在は観音ミュージアムにて展示されています。
一方、境内の鐘楼に掛けられているのは、昭和59年に新鋳された鐘で、毎朝の開門とともに清らかな音色を響かせ、訪れる人々を静かに迎えてくれます。

アクセス

住所

神奈川県鎌倉市長谷3丁目11−2

お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
  • 梵鐘の愛好家
  • 出張先や夜時間に梵活中

皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。

しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。

「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。

一緒に梵鐘を巡る旅に出かけましょう!

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