春を告げる二月堂のお水取り
東大寺二月堂のお水取りを見学してきました。二月堂と呼ばれる建物で燃え盛る松明の光景、ちょうどこの上の写真のような一コマが有名ですが、二週間ぶっ通しで行われる仏教の荒行です。この象徴的な松明の様子を含めた二週間の行事をまとめて「お水取り」と言われます。厳密な「お水取り」は、この二週間のクライマックスで深夜に井戸のお水を汲み上げて二月堂の十一面観音にお供えする行事があるのだそうです。今回は夕方に二月堂の正面広場からお松明を見物して、その後お堂に入らせていただきました。
夜18時30分 広場に到着
お松明は毎日夜19時に始まります。それを目当てに、夕方になると続々と人が集まってきます。私が到着したのは18時30分ごろで既にこんな状態でした。見物できるエリアは主に3か所です。メインはこの写真のように二月堂前の広場。ここが一番広くて見やすいと思います。二月堂のふもと、欄干の下のエリアも見物用に開放されています。ただしこのエリアはとても人気で15時くらいには場所取りが終わっているという話です。人気の理由は、もちろん至近距離で見れるということですが、もうひとつ無病息災のご利益があると言われる燃え残りが拾えるというメリットもあります。もう一箇所、この写真の右側を少し下った駐車場のところも見物スポットです。ここは三脚が使えるので望遠撮影に向いています。
夜19時 松明上堂
19時少し前になると日本語、英語、中国語のアナウンスが流れ、照明が一斉に消灯します。そして夜法要のために11人のお坊さんが二月堂に上がります。3月12日は11人分の松明が全て出揃う日なのでとても混み合うそうです。それ以外の日は1人目のお坊さんが松明無しで上がり、続く10人分の松明が1本ずつ灯されます。松明に導かれお坊さんが一人ずつ上ります。炎の明かりの中で階段を登ってゆくシルエットは「カリオストロの城」のワンシーンのように幻想的です。そしていよいよ欄干で松明が走ります。
19時30分 お堂の中で法要を見学
二月堂の法要は一般人でも見物が可能です。この日は深夜1時までの法要ですが、長い時は朝方4時まで続きます。お堂の中は薄暗く、外側の局で見物してる方もおられるためゆっくり進みます。十一面観音がある内陣は帳で覆われていますが、内陣の方が明るいので影絵のように帳を通して中の様子がなんとなく分かります。このときは導師作法(神名帳)が行われていました。時折、お坊さんが帳の外に出てきて五体投地を繰り返したり、木靴で駆けまわったり、法螺貝や梵鐘が鳴らされるなど、とても動的で見ごたえのある法要でした。2時間くらいの見学でしたけど、とても短い時間に感じました。次の機会にはぜひ最後までお堂に居たいと思います。
もちろん撮影等はできませんが、お堂の外で録らせて頂いた音声を楽しみください。
https://stand.fm/episodes/660957481cd7741b508e3d08
お寺の鐘しらべ管理人
- 東京在住のサラリーマン
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