東京・目黒不動尊:江戸リゾートとして栄えたパワースポット

目黒不動尊は、東急目黒線不動前駅から徒歩約10分の場所に位置する、千年以上の歴史を誇る古いお寺です。2021年にNHKで放送されたブラタモリによると江戸時代には日帰りのリゾート地として栄え、現在でも周辺には昔の料亭や商店の面影が残っています。本堂へは石段を登るとたどり着き、その途中に見える鳥居や狛犬、そして梵鐘は、このお寺のパワースポットを象徴する重要な要素です。

門前町にはシブいお店が並ぶ

江戸のおもかげを残す境内

目黒不動尊の本堂へ続く石段男坂を登ると、「山王鳥居」と呼ばれる独特の形をした鳥居が現れます。この鳥居は、明治以前の神仏習合の時代を象徴しています。さらに、階段の両脇にある狛犬は、1654年(承応3年)に作られた都内最古のもので、第四代・徳川家綱の時代に作られたものと言われています。

都内で一番古い狛犬

梵鐘しらべ

時間      18時
打数      6打
前捨て鐘
実質      6打
後捨て鐘

目黒の名物・サツマイモ

お寺の門前にある滝見茶屋では、サツマイモが人気の品です。このサツマイモの人気は、江戸時代の学者、青木昆陽と深く関わっています。青木昆陽は、日本にサツマイモを普及させた人物として知られており、彼の墓も目黒不動尊にあります。

江戸時代中期には、享保の大飢饉と呼ばれる出来事がありました。天候不順により日本全国でお米が不作になり、1万人以上が餓死する事態となりました。しかし、サツマイモを栽培している地域では被害が比較的少なかったのです。青木昆陽はこの点に着目し、非常食としてのサツマイモの重要性を第八代将軍徳川吉宗に説きました。

梵鐘ものがたり

大晦日は参拝者も撞くことができる

火事で焼失した鐘楼と梵鐘

お寺自体は平安時代から存在していますが、1624年に徳川家光が目黒不動創建事業を行った際、鐘楼と梵鐘が整備されました。この時期に作られた梵鐘と同じ形のものは、葛西の昇覚寺、大國魂神社、日光東照宮にも見られます。目黒不動尊の鐘楼は、本堂に向かって右手に位置し、都内では珍しい袴腰スタイルの鐘楼です。オリジナルの鐘楼と梵鐘は江戸時代からのもので、戦争でも唯一被害を受けずに残りましたが、残念なことに1978年の火災で焼失してしまいました。

貴重なオリジナル鐘楼の写真

留五郎のものがたり

目黒不動尊の梵鐘には、興味深いエピソードが残されています。1624年の鐘楼建築当時、四谷の大工・留五郎が完成させましたが、当初、撞木がつかえて打鐘できない状態で完成させてしまいました。同僚にからかわれた留五郎は、鐘楼をきちんと修復した後にそのまま飛び降りてしまったという悲しい話があります。

境内には青木昆陽のお墓と記念碑がある

現在、梵鐘は毎日18時に自動装置で6回鳴らされます。かつては朝にも鳴らされていましたが、周辺に深夜労働者が多くクレームが寄せられたため、現在は夕方のみに限られています。

アクセス

住所

東京都目黒区下目黒3丁目20−26

ホームページ

目黒不動尊 (megurofudo.jp)

お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
  • 梵鐘の愛好家
  • 出張先や夜時間に梵活中

皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。

しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。

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