和歌山
高野山・金剛峯寺:高野四郎と呼ばれる聖地の大鐘

南海線に揺られながらうとうとしていると、終点が近づく頃には、列車の車窓いっぱいに樹齢数百年の木々が広がり、異世界へ誘われるような光景が目の前に現れます。ここはすでに高野山内ですが金剛峯寺はまだ遠く、その広大さを実感します。山に踏み入れた瞬間から、聖地のスピリチュアルな雰囲気と、憧れの地に近づいたという期待感が入り混じり、不思議な静けさが訪れます。

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奈良
奈良・當麻寺:古代の聖地に伝わる現存最古級の梵鐘(国宝)

邪馬台国の有力候補地とされる古代奈良盆地。朝日が昇る三輪山と日が沈む二上山は特別な聖地として崇められ、地域は大いに栄えていました。二上山の東麓には修験道の開祖とされる役行者(えんのぎょうじゃ)の私領があり、彼が修行した最初の地が當麻です。役行者が寄進した場所にできたお寺が當麻寺となりました。天武天皇10年(白鳳9年・681)の出来事と考えられています。

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滋賀
比叡山・延暦寺:いろんなルートで巡る仏教の最強パワースポット

延暦寺は比叡山に全体に広がる寺院で、ユネスコ世界文化遺産に認定されています。山内の三つのエリア「東塔(とうどう)」「西塔(さいとう)」「横川(よかわ)」に約100の堂塔がそびえています。三つのエリアそれぞれに本堂があって、それぞれが巨大寺院と呼べる存在です。

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滋賀
滋賀・園城寺(三井寺):「弁慶の引摺り鐘」と「三井の晩鐘」(重要文化財、残したい日本の音風景百選)

比叡山の武蔵坊弁慶が付けた傷跡が残される初代梵鐘は「弁慶の引摺り鐘」と呼ばれています。江戸時代から使われている二代目の鐘は「三井の晩鐘」として、毎日夕刻の17時に響き渡ります。その音色は、「残したい日本の音風景百選」に選ばれ、琵琶湖を見下ろす風景に溶け込む美しい響きを届けます。

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京都
京都・永観堂:みかえり阿弥陀の伝承と鐘の響きが紡ぐ物語

京都市左京区に位置する永観堂禅林寺(通称・永観堂)は、平安時代初期の863年、弘法大師(空海)の弟子である真紹(しんじょう)によって創建されました。永観堂は、その美しい紅葉が特に有名で、秋には境内を彩る鮮やかなもみじが訪れる人々を魅了し「モミジの永観堂」として親しまれています。

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京都
京都・高台寺:大阪城炎上を見守った時雨亭の伝説を検証してみた

豊臣秀吉の正室である北政所は、秀吉の死後、1605年に京都東山の高台に高台寺を建立し、出家して高台院と名乗りました。徳川家康は寺院の建設に部下を参加させるなど、高台院の活動を積極的に支援しました。表向きは豊臣家の菩提を弔うことが目的とされていましたが、実際には大阪城に集結する豊臣勢力を抑え、京都に高台院を留める狙いがあったのです。家康の策略は見事に成功し、高台院は炎上する大阪城を無言で見つめていたといわれます。

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奈良
奈良・やまぞえ不動院:再建された鐘楼と80年ぶりに響く平和の鐘

2024年12月7日、奈良県山添村の『やまぞえ不動院』で再建された鐘楼のオープニングセレモニーが開催されました。昭和19年4月に梵鐘が戦時供出されて以降、80年ぶりにお寺の鐘が村に響きました。鐘が到着する前の10月とセレモニー当日にお寺を訪問し、ご住職の前川良基様からお話を伺いました。前川様は高野山で修行を積まれた後、平成19年からこのお寺の住職を勤めておられます。お寺の住職としての務めに加え、地域活動にも熱心に取り組み、長年山添村の教育委員長を務めるなど、村の発展にも尽力されています。

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