京都・浄瑠璃寺:仏教の聖地、南山城に伝わる晩鐘
浄瑠璃寺の象徴は、西側の本堂に安置された九体の阿弥陀如来像。これらはすべて平安時代に造られたもので、建物とあわせて国宝に指定されています。同様の形式を伝えるものとしては、江戸時代に造られた東京・九品仏浄真寺の九体阿弥陀像が知られていますが、平安時代のものが完全な形で残るのは浄瑠璃寺だけです。
鎌倉・建長寺:鎌倉大仏の名工が遺した“現役”の洪鐘(国宝)
建長寺は、北鎌倉駅から歩いて15分ほどの場所にあります。このエリアには、建長寺のほかにも円覚寺、浄智寺、東慶寺といった臨済宗の寺院が点在していて、禅の雰囲気が色濃く漂う地域です。この一帯は、もともと源頼朝が北条氏に与えた土地で、北鎌倉にある多くの寺院は北条氏と深いゆかりを持っています。
鎌倉・長谷寺:観音の旅路と梵鐘に刻まれた縁(重要文化財)
鎌倉・長谷寺は、江ノ島電鉄の長谷駅から徒歩5分ほど。周辺には鎌倉大仏や由比ガ浜海岸といった観光名所が集まり、鎌倉でも屈指の人気エリアとして多くの人で賑わいます。
鎌倉・大船観音:車窓に浮かぶ白き祈りの姿
東海道線の車窓から姿を現す巨大な白衣観音像で知られる大船観音寺。戦前に着工し、戦争や資金難を乗り越えて1960年に完成しました。現在は曹洞宗の寺院として信仰を集めています。観音像への参道途中には、味の素三代目社長・鈴木三郎助氏の寄進による梵鐘があり、毎日正午の時を告げます。高台から響くその音は、大船の街に静かな祈りを届けています。
鎌倉・杉本寺:川端康成が耳を澄ませた鐘の響き
杉本寺は、鎌倉で最も古い歴史をもつお寺です。鎌倉駅から金沢八景方面行きのバスに乗り、金沢街道沿いの大蔵山中腹に位置しています。この地・二階堂は、かつて川端康成や平山郁夫といった文化人が暮らしたことでも知られています。
東京・烏山寺町:喜多川歌麿が眠る小京都
この寺町が形成されたのは、今からおよそ100年前。きっかけは、大正12年(1923年)の関東大震災でした。震災後の都市計画により、都内の寺院のいくつかが、広い土地を求めて郊外への移転を余儀なくされました。同様の寺町は、上高田(中野区)、梅里・松の木・高円寺(いずれも杉並区)などにも見られます。東京都が移転先をあっせんし、烏山寺町もその流れで誕生しました。
京都・光明寺:蔦重が走る大河ドラマのロケ地
2025年放映中の大河ドラマ『べらぼう 蔦重栄華乃夢噺』のロケ地としても注目を集めています。第1話で物議を醸した、死んだ女郎が棄てられるシーンは、この光明寺で撮影されました。横浜流星さんと小芝風花さんの心の支えだった朝顔姉さんの死がドラマの重要な転機となります。