奈良・法隆寺:鬼滅の刃・冨岡義勇の鬼退治と俳句の舞台

奈良県斑鳩町に佇む法隆寺は、日本で初めて世界文化遺産に登録された寺院です。最寄り駅は奈良駅から大阪方面に3駅目、その名も『法隆寺駅』です。

法隆寺駅からは徒歩またはバスを使います。バス本数が限られているため、待ち時間が10分以上ある場合は徒歩が便利かもしれません。改札横の案内所でアドバイスしてくれます。

クルマで行く場合のカーナビ設定は『法隆寺バス停』がいいと思います。法隆寺は広いので設定を間違うと山の中に行ってしまう可能性があります。バス停付近には大きな駐車場が整備されています。

世界遺産では収まらない規模の文化財

あるときお寺の入口で団体ツアーのガイドさんがこんなことを言ってました。「このお寺は世界遺産ふたつ分くらいの価値がある」。広大な境内にたくさんの歴史的建築物を有し、所蔵する文化財も膨大です。

歴史の教科書に載っているものを実際に観ることができ、直接体感できるパワースポットです。

梵鐘しらべ

時間毎日 8時 10時 12時 14時 16時
打数   8打 10打 12打  2打  4打
前捨て鐘
実質   8打 10打 12打  2打  4打
後捨て鐘

鬼滅の刃冨岡義勇思わせる伝統儀式追儺会(ついなえ)

黒鬼・赤鬼・青鬼は家族

毎年2月3日の節分の日になると、大勢の参拝者で賑わいます。この日、境内には黒鬼(父)、赤鬼(母)、青鬼(子)が現れ、松明を放り投げながらお堂を三周します。写真は黒鬼です。青く見えますが。

毘沙門天による鬼退治

追儺会のクライマックスでは、毘沙門天が三匹の鬼を追いかけ、追い詰められた鬼が最終的に降伏する瞬間が演じられます。鬼滅の刃で描かれた水柱・冨岡義勇は毘沙門天がモデルとも言われています。揺れる篝火の雰囲気は鬼殺隊の死闘を思わせる勇壮かつ神秘的な儀式です。

法隆寺の追儺会は800年続く最古の鬼追い式として現代に伝わります。

梵鐘ものがたり

法隆寺の梵鐘はどれもスター級

法隆寺には代表的な梵鐘が3つあります。そのうちの2つは奈良時代から伝わる古代鐘で、国から重要文化財の指定を受けています。国宝の鐘楼に設置され今も特別な年中行事の時にのみ使用されます。

東院伽藍と西院伽藍の国宝鐘

ひとつめの梵鐘は東院伽藍内の夢殿の隣に位置し、東院鐘楼の二階に備え付けられています。一年のうちお正月の3日間だけ使われる超レアもので、この鐘だけは僧侶によって打鐘されるという特徴があります。『中宮寺』の刻印が見られることから、ある時期に中宮寺から移設されたものと推測されています。

もう一つの梵鐘は、西院伽藍の金堂裏手にあり、修正会や夏安居の際にお堂守さんによって打鐘されます。

西円堂の鐘は毎日5回のチャンス

西円堂に設置されているのは、昭和に鋳造された新しい梵鐘です。毎日定時に打鐘され、時刻を知らせる鐘として地域の生活にも密着しています。高台からの響きは斑鳩のシンボルとして親しまれています。

正午の鐘はお昼のチャイムとタイミングが重なるので、個人的にはちょっとした残念感が漂いますが、それが法隆寺の日常の一端であることも感じさせられます。

俳句の舞台『柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺』

文豪・正岡子規が明治28年に詠んだ俳句「柿食えば鐘がなるなり法隆寺」。これは西円堂の鐘が鳴り響く情景を作品化したものと考えられています。この日時に打鐘されていた鐘は西円堂のものだけだからです。いま使われている鐘は昭和に作られたもので、明治時代に使われていた鐘の所在は不明となっています。

西円堂に祀られている国宝・薬師如来は刀や針などの金属を供養する役割も担っていたので、太平洋戦争の際にそれらと一緒に供出された可能性が高いと言われてます。しかし、法隆寺が所蔵する文化財はとにかく膨大です。収蔵庫の片隅でひっそりと保管されている可能性も考えられます。

アクセス

住所

奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1−1

コラム

夕暮れの法隆寺 ― 『柿食えば鐘が鳴るなり』の舞台を探る

明治時代の俳人、正岡子規が詠んだ俳句「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」。知らない人はおそらくいないでしょう。昼間は多くの人で賑わっていた法隆寺が、夕暮れになり静寂が戻りつつある情景を描いています。

お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
  • 梵鐘の愛好家
  • 出張先や夜時間に梵活中

皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。

しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。

「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。

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