梵鐘単体の評価
奈良・法隆寺(西円堂):柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺
正岡子規が明治28年に法隆寺の鐘を詠んだ有名な俳句です。
法隆寺にはいくつかの鐘があります。子規が訪れた日(10月24日または10月26日)に鳴っていたのは、西円堂の鐘だけでした。西円堂は境内の最も西に位置する八角堂で、小高い丘の上に建っています。五重塔よりも高い場所にあるため、境内のどこからでも鐘の音を聞くことができます。
梵鐘しらべ
時間 | 8時、10時、12時、14時、16時 |
打数 | 8打、10打、12打、 2打、 4打 |
前捨て鐘 | ー |
実質 | ー |
後捨て鐘 | ー |
法隆寺の鬼退治・追儺会
現在の鐘が使われ始めた2月3日は、西円堂にとって特別な日でもあります。この日、西円堂では毎年「追儺会(ついなえ)」という独特の鬼退治の儀式が行われるため、夜になると大勢の参拝者で賑わいます。
この儀式は1261年に始まり、800年以上の歴史を持つ伝統行事です。黒鬼(父)、赤鬼(母)、青鬼(子)が現れ、松明を放り投げながらお堂を三周します。炎が闇に揺らめき、幻想的な雰囲気に包まれます。
追儺会のクライマックスでは、毘沙門天が三匹の鬼を追いかけ、追い詰められた鬼が最終的に降伏する光景が演じられます。『鬼滅の刃』で描かれた鬼殺隊の冨岡義勇は西円堂の毘沙門天がモデルとも言われています。揺れる篝火の雰囲気は鬼殺隊の死闘を思わせる勇壮かつ神秘的な儀式です。
梵鐘ものがたり
参道のお店も柿にちなんだものが多い
明治時代の鐘は行方不明に
西円堂の鐘は今も1日5回鳴らされており、鐘の音が響くと観光客が西円堂へと足を運ぶ光景が見られます。西円堂には、奈良時代から伝わる国宝の薬師如来が祀られています。古くから人々は安全を願い、農作業の鎌や鍬、裁縫針などを西円堂に奉納してきました。
空海入定1150年に建立された八角五重塔
現在使われている鐘は平成5年(1993年)2月3日から設置されたもので、子規が聞いた鐘とは異なります。明治時代に使っていた鐘の所在は、今のところ不明です。おそらく、戦時中に金属供出のため、他の奉納品とともに失われたのではないかと考えられています。
京都・東福寺をモチーフにデザインされた三門
アクセス
住所
奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1−1
ホームページ
お寺の鐘しらべ管理人
- 東京在住のサラリーマン
- 梵鐘の愛好家
- 出張先や夜時間に梵活中
皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。
しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。
「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。
一緒に梵鐘を巡る旅に出かけましょう!