
日本最初の世界文化遺産
奈良・法隆寺:西院伽藍は僧侶の時計台(重要文化財)
法隆寺の境内は広大で、拝観エリアは複数に分かれています。チケットも3枚綴りになっていて、西院伽藍、夢殿、宝物館を巡ります。その中でも世界最古の木造建築群の西院伽藍はメインエリアと言えるでしょう。法隆寺の建築物群は日本で初めて世界遺産に登録されました。

世界最古の木造建築物群
表参道から南大門を入って直進すると、シンボルの五重塔が正面に見えてきます。中心に五重塔と金堂を配置し、大講堂や経蔵、鐘楼が回廊で結ばれています。特に鐘楼は古代中国の様式を伝える、現存する唯一の古代鐘楼と言われています。
これらの建築物が創建当初のものであるか、飛鳥時代の火災後に再建されたものであるかについては諸説ありますが、再建されたものであっても世界最古の木造建築群であることは確かです。

西院伽藍の中枢。金堂と五重塔。
梵鐘しらべ
時間 | 1月8日~1月14日 10時30分、5月16日~8月15日 |
打数 | 21打 |
前捨て鐘 | ー |
実質 | ー |
後捨て鐘 | ー |
法隆寺で活躍する3つの梵鐘

法隆寺には3つの主要な梵鐘があります。今回紹介するのは西院伽藍の鐘ですが、東院の梵鐘はお正月の三が日のみ打鐘されます。法隆寺には除夜の鐘の習慣はありません。西院と東院の梵鐘は奈良時代に作られた日本最古級のものです。
3つ目の梵鐘は無料エリアの西円堂に設置されています。正岡子規「鐘が鳴るなり法隆寺」のモデルになった鐘です。そこでは今も毎日打鍾されています。
梵鐘ものがたり
奈良時代から伝わる古代鍾

特別な時だけ見ることができる西院伽藍の梵鐘
鐘楼の上層に吊られている西院伽藍の梵鐘は、修正会(1月8日〜14日)や夏安居(5月16日〜8月15日)の法要の合図として使用されます。お堂守が下層から撞き紐を操って打鐘します。この梵鐘には銘がありませんが、古代鍾の特徴を持ち、奈良時代かそれ以前に作られたと考えられています。梵鐘の撞座の模様と屋根瓦の模様が完全に一致しているので、西院伽藍の再建時に同じ職人が関わった可能性が高いと考えられています。
奈良時代から伝わる金堂修正会
今回は金堂修正会で使われる西院伽藍の鐘の様子を取材しました。法隆寺では神護景雲二年(768年)から1300年続く伝統行事です。一日を6ブロックに分けて24時間いろんな場所で法要が執り行われます。YouTube動画には、午前11時に大講堂で行われる讃説に向かう金堂十僧の様子が映されています。法隆寺長老の高田良信氏は、この鐘を「寺僧に時間を知らせる法隆寺の時計台」と表現しています。

法要のため大講堂に向かう金堂十僧
アクセス
住所
奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1−1
ホームページ
皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。
しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。
「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。
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