行こう鳴らそう除夜の鐘 Top5【関東編】

除夜の鐘はどこのお寺も魅力的。たくさんあって紹介しきれません。今回は「お寺の鐘しらべ」が特におすすめしたい5つのお寺を紹介します。
選んだのは、普段は打鍾する光景を見ることができない、大晦日だけに響く貴重な梵鐘たち。一年の終わりに、静かに響く鐘の音に耳を傾けながら、自分らしい年越しを見つけてみてください。

1.築地本願寺(東京都中央区)

焚火とオルガン、都心の真ん中であたたかく過ごす除夜のつどい

以前は大晦日に、一般参拝者が鐘楼に登って梵鐘を撞くことができましたが、2023年からは本堂前の広場にかわいらしい「平和の鐘」が設置され、そちらを撞く方式に切り替わりました。鐘撞きは予約不要です。

広場には焚火コーナーが設けられ、無料配布のホットミルクを手にした参拝者が静かな年越しの時間をのんびりと過ごします。本堂ではパイプオルガンコンサートが行われ、隣接する場外市場の飲食店も営業。都心のにぎわいとぬくもりが交わる、大晦日ならではの風景です。東京・築地本願寺の鐘しらべはこちら

2.五百羅漢寺(東京都目黒区)

江戸の面影残る中国梵鐘を間近で撞く特別な夜

大晦日の夜は境内が無料開放され、除夜の鐘の整理券(1名1,000円)が12月1日から事前販売されます。普段は立ち入れない屋上の鐘楼で、参拝者自ら鐘を撞ける貴重な機会です。
五百羅漢寺の梵鐘は安永3年(1774年)に改鋳されたもので、およそ250年の歴史を持つ都内屈指の名鐘。このイベントは例年人気が高く、整理券を持っていても行列必至。18時30分から列ができて、19時~20時30分の間に打鍾が行われます。冬の夜空に響く古鐘の音が、参拝者の心を静かに包みます。東京・五百羅漢寺の鐘しらべはこちら

3.増上寺(東京都港区)

東京タワーと共鳴する、徳川ゆかりの鐘

徳川将軍家の菩提寺として知られる増上寺は、都内でも屈指の名刹です。昨年の「ゆく年くる年」では中継キーステーションとしても登場しました。除夜の鐘は12月1日から整理券が販売され(1名2,000円)、年が変わる深夜0時から打鍾が始まります。

ライトアップされた東京タワーを背景に響く鐘の音は、荘厳さと華やかさが共存する“東京の年越し”を象徴する光景です。都会の喧騒を忘れ、歴史と祈りに包まれた特別な瞬間を味わえます。東京・増上寺の鐘しらべはこちら

4.法明寺(東京都豊島区)

江戸商人の暮らしを描いた、珍しい意匠の梵鐘

夜通し賑やかな池袋駅から徒歩10分ほど。アクセス抜群の法明寺には、享保17年(1732)に再鋳された約300年前の梵鐘が伝わります。そろばん、升、天秤といった“江戸商人の道具”が浮き彫りにされた珍しい造形で、経済の町・江戸の文化を今に伝える貴重な遺品です。普段は打鍾されませんが、大晦日にはその姿を間近で見ることができます。

飛び地境内の雑司ヶ谷鬼子母神は、NHK大河ドラマ『べらぼう 蔦重栄華夢噺』にも登場し、今年話題を集めました。

5.川崎大師(神奈川県川崎市)

年に6日しか響かない霊鐘

参拝者が鐘を撞くことはできませんが、毎年わずか6日しか打鍾されない川崎大師の梵鐘が、僧侶の手によって荘厳に響き渡ります。寛政元年(1789年)に鋳造されたこの鐘は、戦時中に供出されたものの、砲弾に転用されることなく奇跡的に戻ってきた歴史を持ちます。

今も変わらぬ音色で時を刻み、参拝者を見守り続けています。幕末にここを訪れた米国公使タウンゼント・ハリスは、手記の中で「日本の鐘の音は非常に美しい」と讃え、この鐘の響きにも深い感銘を受けたと伝えられます。神奈川・川崎大師の鐘しらべはこちら

【番外編】泉龍寺(東京都狛江市)

山門を兼ねた大鐘楼、年に一度だけ登れる貴重な体験

小田急線狛江駅の目の前にある泉龍寺は、東京以外ではあまり知られていませんが、独特の形をした大きな鐘楼が見どころです。山門を兼ねて建てられた珍しい様式で、全国的にも極めて希少。

この大鐘楼に登ることができるのは、元日の9時から15時まで。年明け最初の日に鐘楼へ上り、幸福を願って撞く一打は格別です。東京・泉龍寺の鐘しらべはこちら

🕊️ 次回は【東海編】を公開予定。
名古屋を中心に、街の中で響く庶民派の除夜の鐘を紹介します。

お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
  • 梵鐘の愛好家
  • 出張先や夜時間に梵活中

皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。

しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。

「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。

一緒に梵鐘を巡る旅に出かけましょう!