【大予想】ゆく年くる年2025→2026 ~響きでたどる一年~

年の瀬の足音とともに

10月も終盤に入り、早いものでそろそろ年の瀬が意識される時期になってきました。
梵鐘界隈のビッグイベントといえば、やはり除夜の鐘。全国の鐘楼では静かに一年を見送る準備が始まっています。
ということで、今年も恒例の「ゆく年くる年」中継地を梵鐘目線で大予想してみたいと思います。

「ゆく年くる年」とは

NHKで毎年12月31日から翌1月1日にかけて生放送される年越し番組「ゆく年くる年」
日本各地の寺社や教会、地域行事をリレー中継しながら、旧年の出来事を振り返り、新しい年を展望する30分番組です。


番組の進行を担うアナウンサーは、首都圏のキーステーションから出演するのが通例。昨年(2024→2025)は東京・芝の増上寺がその舞台でした。増上寺は徳川将軍家ゆかりのお寺で、世界的大ヒットとなったドラマ『SHOGUN 将軍』との関連や、東京タワーを背景にした夜景の美しさが選定理由と見られます。

今年のキーステーション本命は浅草寺?

2025年の有力候補は、ずばり浅草寺
過去2007年、2014年にもキーステーションに選ばれており、今年は横浜流星さん主演のNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』の舞台として再び脚光を浴びました。
おそらく当日の仲見世にもたくさんの人が訪れてとても賑やか。外国人観光客も多く、日本のインバウンド需要を象徴するようなにぎやかで楽しい風景が広がるでしょう。
国内外の人々が集い、鐘の音を聞きながら新しい年を迎える──まさに「ゆく年くる年」の象徴的な場所となりそうです。

毎朝たくさんの人が見守る浅草寺の梵鐘

奈良から響く「新時代の鐘」

昨年は奈良県の長谷寺が中継地でした。今年も同じ奈良から東大寺が有力候補になりそうな気がします。史上初の女性総理大臣・高市早苗さんの出身地であり話題性も十分。
奈良の国宝梵鐘が新しい時代の幕開けを告げる光景は、視聴者の心にも強く残ることでしょう。

奈良時代から伝わる国宝梵鐘

また、東大寺と縁の深い新薬師寺も有力。大阪・関西万博では奈良代表する寺社として紹介され注目を集めました。大ヒットした映画「鬼滅の刃」ゆかりの古代の音が印象的な中継になりそうです。

鬼の爪痕が残る新薬師寺の梵鐘

万博・ノーベル賞・デフリンピック

今年を代表する出来事といえば、やはり大阪・関西万博。4月13日から10月13日まで開催され、特に終盤の熱狂は大きな注目を集めました。この「万博」の流れで注目したいのが、名古屋市北区の久国寺。ここには、50年前の大阪万博で世界的な話題を呼んだ芸術家・岡本太郎が制作した、非常に珍しい梵鐘「歓喜の鐘」があります。人々の創造と再生を象徴する“芸術の鐘”として、今年の中継地に選ばれても不思議ではありません。

岡本太郎が作成した歓喜の鐘

さらに、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大阪大学の坂口志文(しもん)博士、ノーベル化学賞の京都大学・北川進氏によるダブル受賞も今年のハイライト。坂口博士の出身地・滋賀県長浜市にある、琵琶湖に浮かぶ聖地竹生島(ちくぶしま)宝厳寺・都久夫須麻神社からの中継も見てみたいところです。世界的に見ても非常に珍しい湖島の寺院から、
湖面に映る鐘楼の影が静かに揺れ、研究者の探究心を象徴するような映像が期待されます。

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)

記憶に新しいところでは、11月に東京で開催されたデフリンピック2025。聴覚障がい者の国際大会として100周年を迎えた記念の年であり、駒沢オリンピック公園のライトアップ中継が期待されます。

世界へ響く、未来の鐘

そして来年2026年には、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック(2月)、さらにサッカーワールドカップ(6月〜7月/アメリカ・カナダ・メキシコ共催)が控えています。

開幕戦の舞台はメキシコシティのエスタディオ・アステカ競技場。1968年のメキシコ五輪でサッカー釜本邦茂氏が2ゴールを挙げ銅メダルを手にした歴史の地でもあります。中継の舞台としては、メキシコのカテドラル(メキシコシティ大聖堂)やグアダルーペ大聖堂がぴったり。

エスタディオ・アステカ競技場


荘厳な鐘の響きが、地球の反対側から日本の除夜の鐘に重なり、世界の鐘リレーを感じさせてくれることでしょう。

鐘の音でむすぶ、ゆく年くる年

2025年は、政治・科学・文化・スポーツのあらゆる分野で「新しい響き」が生まれた一年でした。今年の「ゆく年くる年」は、そんな多彩な音をつなぐ番組になって欲しいと思います。
深夜の浅草から、奈良の古鐘、名古屋の芸術の鐘、そして遠くメキシコの教会まで──。
鐘の音が、国や世代を越えて、人々の心をひとつに結ぶ。
2025年の最後を締めくくるのに、これほどふさわしいテーマはないでしょう。

お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
  • 梵鐘の愛好家
  • 出張先や夜時間に梵活中

皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。

しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。

「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。

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