
梵鐘単体の評価
ソウル・曹渓寺:大都会の真ん中で「世界一早い鐘」が鳴る
初めて訪れた韓国で、私はソウルを代表する寺院「曹渓寺(チョゲサ)」を訪ねました。ロッテホテルから南大門通りを15分ほど北に歩くとお寺の門が見えてきます。1936年に韓国仏教・曹渓宗の総本山となったお寺です。ソウルの四大門の内側にある唯一の主要寺院で、今も韓国仏教の中心的役割を担っています。

暗いうちから人が集まる大雄殿
「大雄殿」はソウル市有形文化財第127号に指定されている曹渓寺の象徴です。内部には中央に釈迦牟尼仏、左に薬師如来、右に阿弥陀仏の三体が並び、韓国の人々に深く信仰されています。私が訪れた朝3時過ぎ、大雄殿にはすでに多くの参詣者が集まり、法要を待ちながら祈りを捧げていました。大都会ソウルの真ん中で、夜明け前からお寺に人々が集う光景は、信仰心に満ちた神聖なものでした。

梵鐘しらべ

時間 | 毎日朝4時、夕方6時 |
打数 | 32打 |
前捨て鐘 | 2 |
実質 | 28 |
後捨て鐘 | 2 |
ソウルの時を告げる鐘楼・普信閣

ソウル中心・鐘路のランドマーク「普信閣(ポシンガク/チョンガク)」は、市民に時を告げる鐘楼です。朝鮮時代には都の四大門の開閉合図や火災などの非常時にも突かれ、暮らしと密接に結びついていました。韓国戦争で焼失しましたが1979年に復元され、現在は毎年大晦日に15万人が集う新年の鐘つきで知られます。
平日は正午に外国人向け打鐘イベントもあり、旅の途中で体験できるのも魅力。ロッテホテルから曹渓寺へ向かう途中に立ち寄れる見どころです。
梵鐘ものがたり

世界一早い鐘の響き
午前4時、法要の開始を告げる「四物(サムル)」の音が響きます。お坊さんが梵鐘楼に上がり、太鼓・木魚・梵鐘・雲板が順に打ち鳴らされていきます。特に驚かされたのは、その時刻の早さ。日本で最も早く鐘を鳴らす清水寺(京都)でも朝4時50分。曹渓寺はそれより50分も早い午前4時に鐘が鳴り響きます。おそらく世界で最も早い時間に鳴らされる梵鐘といえるでしょう。

夕暮れにも響く祈りの音
法要は夕方6時にも行われます。大雄殿の堂内はもちろん、境内の広場にも多くの参詣者が集い、都会の喧騒の中でありながら厳かな祈りの空気に包まれます。広場には樹齢450年を超えるエンジュの大木が立ち、厳粛な雰囲気を一層引き立てていました。

アクセス
住所
55 Ujeongguk-ro, Jongno District, Seoul, 韓国
ホームページ
皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。
しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。
「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。
一緒に梵鐘を巡る旅に出かけましょう!