名古屋・大須観音:お寺と商店街をつなぐ鐘物語

日本三大観音のひとつ大須観音は、隣接する大須商店街とともに歴史を歩んできました。名古屋の城下町が形成された際、街道沿いに寺町が設けられ、そこから参拝客の往来が増えるにつれて商店や芝居小屋が発展し、現在の大須商店街が生まれました。大須商店街には約1,200の店舗や施設があり、戦前の最盛期には遊郭や芝居小屋も存在して一大歓楽街として栄えました。

大須観音通りは万松寺通りにつながります

大きな中州のお寺が移転して大須

大須観音のルーツは、鎌倉時代1245年に岐阜羽島の中州に創建された中島観音にあります。中島観音は川の中州にあったため、繰り返し洪水に見舞われました。お寺には貴重な文化財があったため、江戸時代になると徳川家康の命令で、名古屋城の築城に伴って多くの寺院とともに大須に移転させました。地名「大須」は、大きな中州にちなむものです。

戦前に撮影された大須観音の境内

大須観音の文庫には現存最古の『古事記』の写本をはじめ、15000巻以上の古文書があります。これらの貴重な書物は、平安時代から室町時代にかけてのもので、日本最古や世界唯一のものも多く含まれています。

梵鐘しらべ

時間朝6時
打数8打
前捨て鐘2打
実質6打
後捨て鐘

なごやめしの代表格・きしめん

名古屋は多彩な「なごやめし」で知られる食の都です。その中でもきしめんは、名古屋を代表する名物料理の一つです。きしめんは平打ちうどんで、その独特の食感と味わいが人気の理由です。名古屋に訪れる人々にとって、手軽に楽しめるB級グルメとして知られています。

名古屋の名物きしめんを提供する有名店「住よし」は新幹線のホームに店舗を構え、新幹線の利用者が気軽に立ち寄れる場所にあります。特に忙しい旅の合間にさっと立ち寄れる利便性と、美味しいきしめんが人気を集めています。

また、JR線の在来線ホームにも「住よし」の店舗があります。在来線の店舗は同じメニューを提供しながら、新幹線のホームにある店舗よりも100円ほど安く楽しむことができます。混雑を避け、よりゆったりと食事を楽しみたい方には在来線の店舗がおすすめです。名古屋駅以外でも、市内のJR駅のホームで「住よし」の店舗を見かけることができるため、地元の人々にも愛されています。

梵鐘ものがたり

供出された鐘と焼け残った鐘楼

昭和33年の売春禁止法や昭和34年の伊勢湾台風などにより、かつての賑わいを失い、商店街は寂しくなっていきました。これを受けて、商店街の組合では活性化策が協議され、その一環として梵鐘が注目されました。大須観音の鐘楼は戦災から無事に残っていましたが、梵鐘は戦時中の金属回収令で供出されていました。

大須復興の象徴として作られた「華精の鐘」

そこで、地元の婦人会が中心となり、寄付金を募って新たな梵鐘「華精の鐘」を制作する運動が展開されました。昭和41年に杉本健吉がデザインを担当し、鐘の四面には梅、牡丹、蓮、菊という四季の花があしらわれました。そして、同年12月18日に「華精の鐘」の初鐘式が行われ、その日以降、毎日朝6時に鐘が打たれています。この梵鐘は、大須観音と商店街の復興を象徴する重要な存在となっています。「華精の鐘」は当時の名古屋市長・杉戸清氏から命名されました。

アクセス

住所

愛知県名古屋市中区大須2丁目21−47

お寺の鐘しらべ管理人

  • 東京在住のサラリーマン
  • 梵鐘の愛好家
  • 出張先や夜時間に梵活中

皆さんお寺で鐘を鳴らした経験があると思います。お寺の鐘、梵鐘(ぼんしょう)はとても身近な文化です。それぞれの寺や地域の歴史を反映し、豊富なバリエーションが存在します。

しかし最近では騒音問題や人手不足により、その文化は急速に失われつつあります。日々の生活や街の風景が変わる中で、鐘の音は変わらない唯一の文化遺産です。

「お寺の鐘しらべ」では、梵鐘にまつわる文化や歴史を通して、鐘の魅力を発信しています。朝活やお仕事後のひとときに楽しめるプチ旅行の参考としてもご活用いただけます。

一緒に梵鐘を巡る旅に出かけましょう!